卵巣年齢とは?

ニュースなどで40歳を越えた芸能人の妊活や妊娠、出産について耳にすることが多くなりましたが、実は妊活可能な期間は限られていること、そしてその期間は人によって異なります。

その期間を知るための目安として、「卵巣年齢」というものがあります。今回のコラムでは、「卵巣年齢」とは何か、また、「卵巣年齢」を基準に妊活や不妊治療にどう向き合えば良いのか解説します。

■卵巣年齢とは何か?

「卵巣年齢」とは卵巣に残っている卵子の数が何歳相当であるかを表すものです。
(医学的には、この「卵巣に残っている卵子の数」を「卵巣予備能」と呼びます。)

卵巣の中にある卵子は、女性が胎児のときに作られて以降は増えることなく減少し続けていき、生理が終わる閉経時には卵子の数はゼロに近づきます。
この卵子の数、及びそれを表す卵巣年齢は、生まれた時点での卵子の数や、体質、食生活や生活習慣などによる影響を受けるため、非常に個人差が大きいのが特徴です。
つまり、実年齢が同じ30歳、40歳であっても、卵巣年齢は人それぞれ異なります。
そのため、20代後半でも閉経時に近い卵巣年齢というケースも実際に存在します。

この卵巣年齢は、卵子の周りの細胞から出るホルモンであるAMH(アンチミューラリアンホルモン)の値を測定することによって知ることができます。


■卵巣年齢が高い(AMHの値が低い)とは、どういうことなのか?

卵巣年齢が高い(AMHの値が低い)ということは、卵巣内に残っている卵子の数が少なくなってきていることを表しています。
一つの目安として、卵巣年齢が44歳以上(AMHの値が1ng/ml以下)の場合には、早発閉経になるケースもあるため、妊娠を望むのであれば出来るだけ早く妊娠への取り組みを始める、不妊治療を始める、ということを考えることが大切になってきます。
また、子供を2人、3人と望んでいる場合は、それも踏まえて不妊専門のクリニックの医師と相談しておくことも、良い選択肢の一つです。
第一子を妊娠・出産・育児中に閉経してしまう可能性もあるからです。

ただし、卵巣年齢が高い(AMHの値が低い)ということは、妊娠出来ないということではありません。
あくまでも、妊娠可能な期間があまり残されていない、と考えてもらえればよいかと思います。


■卵巣年齢が若い(AMHの値が高い)場合で気をつけるべきこと

卵巣年齢が若すぎる(AMHの値が高すぎる)場合にも、実は注意が必要です。
具体的には、卵巣年齢が31歳以下(AMHの値が5.0ng/ml以上)で、かつ月経不順の場合には、多嚢胞性卵巣症候群(たのうほうせいらんそうしょうこうぐん)(PCOS)という、排卵が阻害される不妊原因となる疾患である可能性があります。


■卵巣年齢は妊娠率ではない。

卵巣年齢が高い(AMHの値が低い)と妊娠しにくいのではないか?という質問をよく耳にしますが、卵巣年齢は残っている卵子の数を表す目安であり、妊娠率を表すものではありません。妊娠率に関しては、卵巣年齢で表される卵子の「量」ではなく、卵子の「質」に影響を受けます。
卵子の「質」に大きな影響を与えるものは「年齢」であり、年齢を重ねるにつれて、卵子の「質」が低下し、妊娠しにくい状態になっていきます。
卵巣年齢は、妊娠率に直接影響するわけではないため、卵巣年齢が高くても(AMHの値が低くても)排卵・受精・着床の過程が問題なく行われれば妊娠することは可能です。また、卵巣年齢が高い(AMHの値が低い)からといって、すぐに体外受精や顕微授精を行わなければならないわけではありません。

卵巣年齢が高い(AMHの値が低い)場合は、妊娠や不妊治療にかけられる期間があまり残されていないことを踏まえた上で、ライフプラン・妊活・不妊治療を考えることが大切になってきます。


■卵巣年齢を若くすることはできるのか?

卵子は胎児のときに作られて以降は増えることはないため、残っている卵子の数を表す卵巣年齢を若くすることは、今の医学ではできません。
多量のカフェイン摂取や喫煙が卵巣年齢を高くしてしまう(AMHの値を低くしてしまう)という研究報告はあるので、それらを意識して控えるようにすることは卵巣年齢を若く保つ対策の一つと言えます。

■自分自身の卵巣年齢を知るには

どうすれば自分自身の卵巣年齢を知ることが出来るのでしょうか?
卵巣年齢は、AMHの値を血液検査で測定することにより知ることができます。
(逆に、自覚症状などが存在せず、日常生活の中では気づくことはできないため、今のところ血液検査以外での方法では、この卵巣年齢を知ることはできません。)
AMHの値は、他の女性ホルモンと異なり月経周期による影響を受けにくいという特徴があるため、月経周期に関わらずいつでも測定できます。

卵巣年齢を知る方法は、2つあります。

1つ目は、近くの婦人科や不妊治療クリニックなどで検査することです。
ただし、すべてのクリニックで卵巣年齢を知ることができる血液検査(AMH検査)を取り扱っているわけではありませんので、事前にホームページや電話で確認しておく必要があります。

2つ目は、卵巣年齢チェックキット「F check」で検査することです。
F checkを使うことで、病院になかなか行きづらい方でも、自宅で簡単に卵巣年齢を測定することができます。

卵巣年齢は、これまでは不妊治療を開始するタイミングで、他の不妊検査と一緒に、測定されてきましたが、F checkを使うことで病院に行けない方でも測定することができます。
いつか子どもを欲しいと思っている方や、妊活で悩み・不安を抱えている方には、ぜひ自分自身の卵巣年齢を知ることを、選択肢の一つとして考えて欲しいと思います。


■卵巣年齢をどう活用するか

自分自身のキャリアを考えると20代後半で妊娠・出産を望むことが難しいなど、妊娠・出産のタイミングに関する悩みを抱える方も少なくないと思います。
妊娠率は年齢に大きく関わってくるため、必要以上に妊娠・出産を先延ばしすることはお勧めできませんが、働く女性にとって、「もう少しの間仕事に集中したい」という時期もあるでしょう。
そんな時に卵巣年齢を知ることで、今すぐ妊活に取り組む必要があるのか、それとも1年、2年程度であれば先延ばしが可能なのか?一つの判断材料として活用することができます。(ただし、年齢によっては妊活を急いで始めた方が良い場合もあります。)

また妊活中の方であれば、自分たちのペースで1年ほど妊娠への取り組みを進めるのか?それとも早めに不妊治療クリニックで検査や治療をスタートさせた方が良いのかの目安にもなります。
例えば、20代後半で卵巣年齢がかなり高い(AMHの値がかなり低い)場合は、早めにクリニックへの通院を開始することで、残された妊娠可能な期間の中で、より妊娠の可能性が高い選択肢を選ぶことができるようになります。

そして、この卵巣年齢は、不妊治療における治療方針を考える上でも活用されています。
卵巣年齢(AMHの値)は、不妊治療の治療方針を決める際の基準の一つとなっており、具体的には、より高度な治療への移行時期の検討や、体外受精における採卵方法の検討などに用いられています。

このように、卵巣年齢は妊娠・出産について考える際の材料として活用できるものです。
いつか子どもを望んでいる方も、妊活に関する悩みや不安を抱えている方も、まず自分自身の卵巣年齢を知り、自分自身のライフプランや妊活の計画を考えてみて下さい。

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