32歳、不妊かも。自宅検査でわかる妊娠のタイムリミット
32歳、独身。
周りは徐々に結婚していき、第2子誕生を待つ人もいる。そして中には子どもができず、悩む友人も複数いる。既婚の友達とご飯を食べれば、自然と「子どもができない」相談も出てくる。だから妊活のことはいつも身近に、しかし遠くに感じていた。
というよりも、自分なんかが妊活について語ることが怖かったのだと思う。ピルを飲み始めてはや15年!、どちらかと言えば妊娠しない方へ全力を注いできた自分にとって、妊活について語るのはおこがましいと感じていた。「結婚したらできれば子供は欲しい」と思っていたにもかかわらず、だ。
ピルの服用者は婦人科で子宮検診をすることが勧められている。だから私は、定期的に婦人科へ通う人生をおくっているくせに、妊活を医師へ相談することもなかった。ピルを飲む人間に、そんな資格はないと思いこんでいた。普段から婦人科へ通う理由がない女性にとって、妊活はもっと相談しづらいだろう。
■ 自宅で「卵巣年齢」を検査できるキットが誕生
そんなとき、
F checkという検査キットを知った。女性の妊娠に、大きく分けて3つ影響を与える要素がある。卵子の数、卵子の質、そして子宮の環境だ。F checkはそのうち
「卵子の数」を自宅検査できるという。
実は卵子の数は生まれたときから決まっており、我々は卵子の在庫を目減りさせながら生きている。
人によってあらかじめ卵子の数が限られている人もいれば、たくさん持っている人もいる。自分の卵子の残った数は、AMHという血液中のホルモンの値で推計できる。
F checkは自宅でAMHを検査できる日本初のキットだ。年齢ごとのAMHの相関関係と照らし合わせ、自分の「卵巣年齢」を算出してくれる。
たとえば、37歳で卵巣年齢が25歳であれば、卵子の数は少なくとも潤沢にあるといえる。いっぽう、20代でも卵子の数が少なければ、早期閉経のリスク……つまり、妊娠可能な残り時間が短い可能性がある。独身だろうが、まだ子供は先だと思っている夫婦であろうが「残った卵子の数、つまり出産タイムリミットの目安」がもらえるのはありがたい。
そこで実際に、検査キットを使ってみた。
こちらが検査キット。取り扱い説明書が記載されている。事前にF checkで
マイページ登録をし、自分のナンバーを手に入れてキットに記載する。そうすると、オンラインで結果が見られるしくみだ。
キットの中身はこんな感じ。
道具の多さに一瞬あわてたが、取扱説明書を読めば普通に使いこなせた。これで採血をし、郵送するだけで結果が届く。
こちらは取扱説明書。イラストつきでわかりやすい。
最終的に、この透明な筒状の道具へ採血した道具を入れて郵送する。写真は採血前なのでスプラッタがだめな人も安心してほしい。
「えーと、次はなんだっけ」とゴニャゴニャ言いつつも、わずか5分程度で採血は完了。あとは書類に名前や住所、F checkで登録したナンバーを記載して普通郵便のポストへ投函するだけ。思ったよりあっけなく、検査が終わった。
■ 検査の結果は……?
さて、ものの1週間ほどで結果が出た。よりによってキットを投函したのはお盆のまっただなか。病院だって軒並み休みだ。これじゃあ、結果が遅くなっても仕方がないよな……と思っていたので、スピーディーな診断結果におどろいた。
ログインすると、こんな感じで検査結果を見られる。
結果は……42歳だった。AMHは1.55。実年齢より10歳上の方と同じくらいしか、もう卵子が残っていなかったのだ。
■ タイムリミットを知ってから
それを知った瞬間、速攻で姉に連絡した。というのも私には姉が2人いるのだが、下の姉が妊活を専門とする鍼灸師なのである。
姉「卵子の数が少ないってことはAMHの値を調べたんだよね? 平均年齢よりAMHが低いと早めに体外受精を勧められる患者さんが多いけれど、卵子の質は実年齢と比例するから採卵誘発剤で妊娠する方も多いよ。卵子と精子の相性もあるから、AMH低値=良い卵子が少ない、わけではないので安心して」
さすが不妊分野で働いているだけあって、姉は私がショックを受けない言葉を選んで説明してくれた。しかしまあ……ショックは受けた。というか、今も受け続けている。
私はもともとDINKSも養子もアリ派だ。子どもがいなければ、仕事をわが子と愛せるくらい仕事も好き。パートナーも「子どもはいたら責任をもって大事に育てるけど、いなくても全然幸せだからね」と言っているタイプだから、産むかどうか決めてすらいない。それでも、かなりこたえた。私が子どもを産みたいなら、すぐに決めて動かなくてはならないと感じた。なんせ、卵巣に残っている卵子の数が実年齢を上回っているのだから、あせった。
■ それでも知ってよかった
友人にもLINEした。
「そうか。じゃあ卵子凍結しよう。この病院が有名だから行ってみて」
……彼女も、私よりよほど詳しかった。どうやら、妊活について知らないのは私だけだったみたいだ。ちなみにその病院で卵子凍結は40万円。タイムリミットが迫っているわりに、けっこうな……結構なお金の決断を迫ってくるな、妊活ってやつは!
妊活で苦労する友人も、つらいのはそこだという
。不妊治療の平均開始年齢は33歳。
30代前半で妊活をするのは、むしろ平均値だ。20代前半だって7%もいる。その年齢で、100万円単位の出費をせまられる。悩んでいる間に、どんどん卵子は減っていく。そりゃあ、メンタルも病むよ。
ショックだったが、知ってよかった。これを知るのが10年後だったら、きっと私は過去の自分を許せない。「もしかして」とモヤモヤするくらいなら、数字ではっきりと知らされたほうがいい。知らないことには対応できないけれど、知ってさえいれば対応できるから。
F checkの検査キットは
こちらで購入できます。
*私のようにピルを飲んでいる人間は、1か月前からピルの中断が必要となります。ピルを1周期(4週間)以上中断してから再開すると、血栓症などのリスクが上がるとされています。今回私はそのリスクを踏まえて服用していますが、ピルの処方を受けているかかりつけの婦人科医に相談することをお勧めします。
【参考リンク】