「結婚する前から知りたかった」35%の夫婦が悩む妊娠の話
「もっと前に知っておけばよかった」と感じる機会は、人生からどんどん減っている。
最初の彼氏ができる前から婚活体験談は読める。結婚した後の夫婦喧嘩はTwitterに流れてくる。むしろ、知りすぎて前に進めなくなることが増えた。SNSで知りすぎるのも良くないよな、と思いながらつい他人の話を追いかける……そんなものじゃないか。
けれど、そこから取り残されて、未だに「踏み込んだ人」だけが詳しくなる領域がいくつかある。妊活は、そのひとつ。私が取材した妊活経験者は「もっと前に知っておきたかった。結婚する前から」と嘆いた。
■結婚したのに、子どもができない
35歳で結婚した。夫婦ともに子どもが欲しくて、急いだ結婚でもあった。夫婦仲は良好で、関係もある。それなのに子どもだけが、2年たってもできなかった。
「1年くらいは気にしてませんでした。意識すらしてなかったかも。待ってればそのうちできるでしょ、って。なんか変だな……と思ったのが2年目からですね。おやおや? さすがにおかしくない? って。友達に相談したくても、周りはまだ結婚してないし。セックスレスの子は多かったけど、そういうのもあってできないっていうのは、(可能性として想定して)なかったですね」
妊活、という言葉が普及する前。妊娠できないと悩む夫婦には、【不妊治療】という重い扉が待ち受けていた。不妊治療で検索しても、AIH、仲良し、D1と知らない単語がずらり。しかもそこには「姑からの孫を欲しがる電話がつらい」「いっそ子宮を摘出したら、生理のたびに罪悪感を負わずに済むのに」など真剣なコメントが並ぶ。子どもできないかも……くらいの自分は、入り込めない雰囲気だ。
代わりに「不妊 かもしれない」で検索すると、まず勧められるのが産婦人科検診。しかし彼女は行かなかった。
「痛みがあるわけじゃないし、子どもができないっていうだけで行くほどでもないと思ってしまったんです。まだ37(歳)だし、仕事も忙しかったから平日は無理だし」
彼女がもともと妊娠しづらい体質だと知ったのは、さらに3年後の40歳当時。高齢出産のカテゴリに入ってから5年たっていた。夫ともギスギスし、傷つく言葉もかけられたという。彼女自身も一時期自殺を考えるほど、すべてを責めた。
「私とさえ結婚しなければ、彼は子どもができたのに。他の家の子を彼が見てるときなんか、私でごめんね、結婚相手が私じゃなかったらって。せめてなぜ早く治療をしなかったんだろうって、そしたらもっともっとできることがあったのに。結婚する前にせめて調べれば、治療を始めたのに。むしろ、私なんかと結婚せずに済んだのに。
夫も、最後の最後まで病院についてきてくれなかったし、仲良し日*すら飲みに行ってヘロヘロになって帰ってきたりしてたんで、あのときしていればもしかして……って。彼も年上で、精子の質にもタイムリミットがあって。その話をしても検査に来てくれなかったし。もう、何もかもがね、憎いわ、情けないわ……。ひどい、つらい」
*仲良し日…性行為をすると妊娠しやすい日。妊活初期のタイミング法で、医師から指定された日に関係を持つようにアドバイスを受ける日。
子どもができない、は誰にでもある
実は、夫婦の35%に、子どもができず悩んだ経験を持っている。「うちは2人でやっていくことにしたので」と言い切れる夫婦はいない。DINKSのつもりで結婚しても、片方が「やっぱりほしい」と言い出すこともある。それが得てして、女性にとってはギリギリの出産年齢になることも。
そしていま、18人に1人の子どもが体外受精で生まれている。クラスに1~2人は体外受精で生まれた子がいる。だから決して妊活は「結婚して、何年かしてから知ればいい」ものではないし、産婦人科の扉を叩く前に知るべき話だ。
産婦人科に受診する手前で「なんで子どもができないんだろう……」と考える方を助ける技術も生まれつつある。リクルートが提供するSeemは自宅で精子の濃度と運動率を撮影できる画期的なキットだ。不妊の原因は半分が男性由来だが、男性が産婦人科へ行くのはかなり心理的ハードルが高い。そんな男性の不安を自宅で解消できるキットがすでに市販化されているのは心強い。
さらに2019年発売のF checkは、卵巣の中に残っている卵子数の目安となる「卵巣年齢」をチェックできる。卵子の在庫数は生まれながらに決まっており、人によっては20代で残存数が40代レベルだったり、その逆だったりすることもありうる。さらに異常値があるかも測定し、不妊に繋がりうる疾病を予測できる。自宅で妊娠しやすさをあらかじめ知っておければ、キャリアプランも変わってくるだろう。
妊活から不妊治療の門を叩くまでに、半数以上は1年以上悩んでいる。その多くは「自分がまさか妊娠できないなんて」と思っているからだ。確かに産婦人科は普段からピル処方などで通っていない方にとってハードルが高いかもしれない。だからこそ、自宅でまずは「もしかして」と湧き出る不安要素を、確認してはいかがだろうか。
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